さて前回に引き続き、アメリカのビザ取得の話の2次審査についてお話しようと思います。なお前回・今回ともその内容は2006年度当時の話です。現在の手続き状況と異なる場合がありますので、あくまで体験談としてご参考下さい。
アメリカでビザを取得するためには、一次、二次と二回手続きを踏む必要があります。どちらがより大変かは人によりますが、二次審査は東京か沖縄ににありますアメリカ大使館に出向かねばなりません。ですから、それら場所から遠い所に在住の方は移動費もかさみます。
私の場合、当時大阪に住んでおり、東京に行くことにしました。また、特に妻の希望で、私たちの結婚記念日である3月31日に日本を出発しようと決めていましたので、この二次審査は必ずパスし、ビザを取得せねばならぬプレッシャーもありました。
私の二次審査の面接予約は1月8日の朝10時30分、新年明けて大使館の仕事始めの日だったと思います。私の年末の休みは既に終わっていましたが、8日が最初だと言われ、さらに仕事を休み使い予約しました。
その1か月ほど前に東京の大使館から電話があり、「二次審査をいつにしますか?」と電話で聞いてきました。今から思うと、新年一発目に予約を入れるのはやや無謀だったかもしれません。大使館の長い冬休みをはさみ、ようやく迎えた新年初日には、きっとよりたくさんの人でごった返すのではないかと心配していたからです。早く行って早く終えたかった私には、年末の休みはなんとなくそれがずっと気がかりでした。
そして当日。地方から来る多くの方はおそらく前日に東京に泊まるか、当日新幹線で向かうかと思いますが、私は夜行バスを選びました。夜行性の私にとって、早朝の新幹線に乗るより、前日大阪から夜行バスに乗るほうが私の身体に合っているかと思ったからです。
しかしそれが裏目に出ました。東京駅到着予定が6時半でしたが、なんと朝の4時30分に到着。途中バスは何を思ったのか飛ばしに飛ばし、快適に寝ようと3列シートのデラックスバスを予約したのですが、その暴走とも言うべきスピードからくる振動で、ほとんど眠れませんでした。後日そのバス会社には思いっきり苦情を言いましたが。
ともあれ1月の朝の4時半は無茶苦茶寒いです。東京駅周辺にいる人といえば、深夜の工事で働く人か、ホームレスの人くらいしかいません。何をしようかうろうろした挙句、うどん屋を発見。東京風のやや濃いうどんでも、とてもおいしく感じたものでした。
しかしいまだ朝の5時半。新幹線にしとけばよかったなと思いつつも、大使館の開門は8時ですので、まだまだ時間があります。どうしたものか寒風の吹く中考えましたが、あるサイトで、「朝6時で既にたくさんの人の行列でした!」とあったのを思い出し、もう大使館に向かうことにしました。
大阪人の私は、大阪でもJRや私鉄の網の目のような路線網に目がくらむほどですが、東京はよりすごいですね。同じ目的地に行くにも、様々な行き方があります。ただ路線地図を見ただけで決めるのは、その乗り換えにどれだけ徒歩で移動がかかるか知らない地方の人間には、半ば賭けに近いものがありました。利用した地下鉄で、乗換えがありましたが、違う地下鉄の駅に到着するまでかなり歩かねばなりませんでした。路線標識には5分などと書いてありますが、それは電車に乗ってかかる時間。駅まで歩く移動時間は別なんですね。朝の早くから、えらく運動したようでした。
ようやく大使館前に着いたのが朝の6時前。まだ薄暗い中、正門に到着。8時に開門なのはわかっていましたが、私の面接時間である10時30分というのは一応の予定時間ということで、その日に来た人の先着順で時間は変更される、と知っていましたので早く終わらせたい私は正門へ向かいました。
びっくりしたのが、なんと厳重警備なこと!何人もの警察官が大使館周辺を取り囲むように配置につき、パトカー、そして装甲車まで。えらいとこにきたもんだ、と場違いにも似た気持ちで正門に着きました。
ウェブサイトで言っていたのとは裏腹に、正門前にいたのは警察官と門番の守衛のみ。場の悪さに多少居心地が悪かったですが、その守衛さんに、「ビザの面接に来た者ですが、ここに並ぶのですか?」と聞くと「はい。そこに並んで。開くの8時って知ってるよね?」とえらく怪訝そうに東京弁で返してきます。「分かっとるわ!」と言い返したい気持ちを抑え、誰も並んでいない寒い正門前で、警察官の視線が気になる中、並ぶことにしました。
すでに相当長く書いていますので、ここで切り、続きは次回にします。