最近、どれくらい「恥ずかしい」と感じたり、そう口に出したことはありますか?
私が日本を離れハワイに来て以来、「恥ずかしい」と思うことが極端に減った気がしてなりません。それはハワイに移住して最も大きく感じた精神的変化の1つと言えます。日本にいる頃は、周りの目を過剰というほど意識し、和を貴うと言いますか、まるで「出る杭」にならないように振舞うことが暗黙の美徳と言えるところがあったように思います。
日本のニュースを見ていますと、カリスマ社長や一躍有名人になった人などが度々もてはやされますが、スポーツ新聞や雑誌の影響力、そして人々が持つ、見えない出る杭を潰すような風潮により、そうした人々は逮捕されたり、捨てられるようにメディアからいなくなったり。逮捕される理由があるのはもちろんいけないことですが、日本にあるそうした「出る杭は打たれる」ような風潮がいまだ強い気がしました。ですから、日常生活においても、むやみに出しゃばって変な目で見られるよりは、何も話さないでおこう、知り合いにならないでおこう、とでも言うように、近所の人々とあいさつをしにくくなり、知らない人と打ち解けるのにかなり時間がかかるのかもしれません。
アメリカ人の私の妻の父親が以前言っていましたが、日本ではカラオケが個室であることにとてもびっくりしていました。そんな風に歌っていったい何が楽しいのか、というわけです。アメリカでは、確かにカラオケボックスというような個室がいくつもある場所はほとんどありません。歌うのはアメリカ人も好きですが、カラオケはみんなで歌うものと考えています。カラオケバー(パブ)にふらっと出かけ、そこにいる知らない人の前で歌う。そして知らない人から拍手をもらい、ノリで話しかけてみんなで楽しむ、というのがアメリカの一般のカラオケスタイルです。
日本ではそれはきっとはやりませんね。なぜ知らない人の前で歌わねばならないのか、そんなの「恥ずかしい」じゃないか、と思われるでしょうね。しかしこれはやってみるととても楽しいものです。見ず知らずの人が結構上手に歌い、半ば感動させられる時もあれば、私ももっとうまくなりたいと思ってよけいやる気になって歌ったり、知らない名曲を知ることができたり、そして知らない人と歌を歌うことで即座に仲良くなれる、そうしたオープンな場所ですと、そうそう恥ずかしいと思うことはありません。
もちろん、ズボンのチャックを全開にして通りを歩いてしまっていたら恥ずかしいですが、笑って過ごせるようなノリはアメリカではあるような気がします。
他人は他人ですが、過剰にぎすぎすせず、エレベーターやバスの中、バーなどでも気軽に話しかけやすい雰囲気でいますと、精神衛生上かなり楽です。日本を離れると、恥ずかしいと思う瞬間、また恥ずかしいと思わせる対象が劇的に減って肩の凝らない生活ができるような気がします。
「恥ずかしい」と感じない生活